
先日の「さわやか介護セミナー」の講演会の様子が「静岡新聞」1/13付に全面どどーんと掲載されました。
介護の達人は人生の達人!
短歌を詠むことで介護を前向きにとらえ、人生を笑顔で受け止める達人たちのお話をさせていただきました。
また、東海大短期大学部食物栄養学科・末永美雪教授の食事を通して脳も身体も健康長寿というためになるお話もありました。
※せっかくなのでみなさんにも読んでいただきたく、
講演会の記事からわたしの話を一部加筆して掲載します。
31音に思いを吐き出す
介護をしている方で、高齢者や弱い相手につい何かのきっかけで強く当たってしまい、「自分は駄目な人間だ」と思い詰めて自分を責めたり、誰にも相談できないまま苦しんでいる人はいませんか。
介護疲れをため込むとストレスを感じたり、うつなどの病気になったりすることがあります。
介護は、介護者本人が健康であることが大前提。
そのためにも、普段の介護で感じるさまざまな感情を「発散」させることが大切です。
私は、NHKのEテレで放送している「ハートネットTV~介護百人一首」の司会をしているので、今日はストレス解消にもなる「短歌」を紹介します。
人には打ち明けにくい思いを紙に書き出す作業は、心と頭の整理になり、とてもすっきりしますよ。
そして、なぜ介護日記ではなく短歌を勧めるのか。
それは、たった31しかない限られた音の中に、自分の感情を表す最も的確な言葉は何かを考え、選びとる過程で、自分自身に向き合い、心のモヤモヤを整理することになるからです。
何年も家族の介護をし、ときどきの思いを詠んでいる人の短歌は、その内容に変化が見られます。
最初は「なぜうちの夫だけ…」など否定や怒りの感情だったものが、徐々に「受け入れられない自分自身の未熟さ」を反省したり、諦めたり、いずれは「一緒に歩んでいこう」といった受容の感情になっていくのです。
これは心のメカニズムとして解明されている自然の流れ(=悲嘆のプロセス)。
病や老い、相手や自分の境遇を受け入れられるようになるまでの期間は人それぞれですが、その時は誰にでも必ず訪れますので、皆さんも安心してください。

1日に400回笑えば
忘れてはいけないのが、笑顔の効用です。
「相手は自分の鏡」「鏡は先に笑わない」という言葉があります。周りの人に微笑んでほしかったら、まずは自分から笑ってみてください。作り笑顔でよいのです。
大人は1日に15回、子どもは400回笑うという研究結果があります。四六時中笑っている子どもと時々しか笑わない大人。どちらが幸せそうか、顔を見れば答えはわかりますよね。
若い人、お年寄り、身体の不自由な人、どんな人にもそれぞれ役割があります。
お互いが上手に相手のよさを引き出し合って、励まし合えれば、一人一人の個性が光る世の中になります。そしてそれこそが、介護の在り方の真骨頂。
相手を褒めようとする時、自分の顔は自然と笑顔になりますね。
なるべく相手の良い所を探して褒めていけば人はやる気を出すものです。
“ないものねだり”ではなく“あるもの探し”。
それはきっと相手だけではなく、自分自身の幸せにもつながるはずですよ。
介護百人一首司会・ベジアナ@小谷あゆみ