埼玉県介護老人保健施設大会で~歌は訴ふ。介護短歌とは相手を思う手紙

 
2月6日は、埼玉県介護老人保健施設大会が、大宮のソニックシティでありました。

 

 
「老いと演劇」についてのお話。
岡山を拠点に活動する俳優で介護福祉士の菅原直樹さんの講演が午前の部にあり、
わたしも勉強のために聴きに行きました。

 

 
ワークショップです。
「YES,and」というコミュニケーション方法はわたしも聞いたことがありますが、
それを介護スタイルに。
ひとがなにか意見を言ったら、反論や否定をするのではなく、まず、
「ああ、それいいですね~。じゃあ・・・」というふうに、話にのっかりながら次の話に進めていくものです。
介護現場に限らず、ビジネスでも、学校でも、家庭内でも、あらゆる会話に役立つコミュニケーション。

 

 
認知症のひとの言動を、「正すこと」が正義ではないのではないか。
互いが会話して、結果、「たのしく」過ごすことができれば、その時間のほうが大切なのではないか。

 

 

小川会長からご挨拶がありました。

 

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埼玉県介護老人保健施設協会のみなさまと。
じつは、10年前、介護短歌の講演をさせていただいたのがきっかけで、
埼玉県老健独自で、介護短歌に取り組み、毎年作品集を作っておられます。
今年は10周年という記念の年!
そんなご縁で今回、10年ぶりに招いていただきました。
(去年は、全国大会の開催があり、毒蝮三太夫さんと一緒にお邪魔しました。)

 

「埼老健介護百人一首10周年」に寄せて「短歌で発散!いきいき介護」と題してお話させていただきました。
介護百人一首(短歌・和歌)とは?  
そもそも「歌」の語源は「訴ふ(うったう)」と言われています。
会場では、相手(他者)の気持ち、作者の立場になって声に出して読んでみよう!
と、埼玉県介護百人一首の作品の中でも優秀作のいくつかを”群読”しました。

①利用者に腕がきれいとさすられたそんな自分は四十の男       (金子正明さん)

②不意に空く席ひとりぶんテーブルを拭きながらふとあなたを思う  (竹井佐知子さん)

③歌が好きおしゃべり大好きみんな好きだけど私はすぐ忘れちゃう   (春添徳子さん)

④楽しみも苦しいこともないけれどそれが幸せ私は元気          (落合ノブさん)

⑤デイケアのチイチイパッパに馴染めずに群れを離れてひとり本読む   (吉田昇さん)

吉田さんは、なんとNHK介護百人一首にも入選されました!おめでとうございます!

 

読み返してみると、

介護する人もされる人も、双方向コミュニケーションなんですね。
お世話しているつもりが、お年寄りから「腕がきれいね」と言われたら、やはり悪い気はしません。
嬉しいものです。
そんな、日常のふとした情景を歌に詠むって、すてきですよね。
 
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小川会長はじめ、寺島事務局長さんや、みなさま
埼玉県介護百人一首、10周年おめでとうございます。
今年の埼玉県の作品集に寄せた拙文を載せておきます。
 

手紙としての短歌

 入賞した10首の短歌を読み返すと、「しわ、忘れ(る)、涙、幸せ」、それから「手(腕)」という言葉が目に止まりました。

介護の現場ではさすったり、握手したり、検温や血圧や、ちょっとした支えなど、

「手」で会話することがいかに多いか、皆さまの短歌から見えてきます。

主体的に握ったつもりが、相手にこちらの手のぬくもりが伝わってしまう。

これぞ、人間同士のコミュニケーション、「介護は双方向」たるゆえんです。

 また、旅立ちの歌もありました。

人が生まれ、老いて、最期を迎えるまでは、すべて連続した命のつながりです。

姿かたちは見えなくなっても、わたしたちの心の中にその人は生き続けています。

悲しみは尽きませんが、その人を思い、手紙を書くように歌に詠んだなら、その人は作品としても生き続けます。

 介護短歌というのは、相手を思う手紙です。

決しておだやかにばかりはいられませんが、そんなもどかしさ、怒り、悲しみ、悔しさ

といった行き場のない思いを吐き出すために介護短歌はあるのです。

口に出しづらい心のもやもやを、紙にぶつけてみてください。

 気持ちを文字に変える作業は、やってみるとふしぎと心落ちつくものです。

また介護の中にも、ハッとした驚きや嬉しい瞬間はありますよね。

そうした場面を短歌に切り取れば、喜びは増幅します。

そしてできれば、31音に収まるように推敲してみてください。

五七五七七のリズムに収まると、声に出しても気持ちがいいものです。そうした作品づくりの達成感も短歌の楽しみです。

31音になるまで色んな表現を当てはめる言葉探しの時間は、じつは自分を見つめ直す時間になります。

介護の悲喜こもごもを短歌で発散して、介護する人も、される人も、気持ちをスッキリ、やわらげることができたら、

また明日から前を向いて続けられるかもしれません。

 日々の感動を記録する習慣をつけることは、短歌だけでなく、ご自身の人生や暮らしを豊かにします。

どの作品も介護の様子や思いが表れ、読む側の心を温かくするもので、人と人のつながりには様々な形があることを学びました。

この世にかけがえのない介護に関わる皆さまに敬意を表するとともに、心より応援しています。ありがとうございました。

 

令和2年 1月吉日           

 

 
 ベジアナ・介護短歌アナ 小谷 あゆみ

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