負けない、依存しない、強い農業をどう築くか。
北海道の2人の放牧酪農家の考え方と実践に、希望を見ました。
日本農業新聞にコラムを書きました。
https://www.agrinews.co.jp/p48861.html
取材した2つの牧場には、見事に共通していることがありました。
牛を放牧して離農した耕作放棄地を請け負い、面積(草地)は増やしますが、頭数は増やさない。
むしろ減らしているぐらいです。
はっきり言ってびっくりします。
そして、規模拡大しない方が収益があがることを実践しているのです。
乳量(収入)は多くなくても、飼料を買わない、労働力をかけない=支出を抑えることで、
プラスマイナスの収支=手元に残る利益が実は多いことを2つの牧場が証明しているのです。
2つの牧場とも、放牧酪農の関係者にはとても知られている方ですが、
ふだん各地の農業を取材し、農政をウォッチしている者にとっては目からウロコの低コスト経営。
相次ぐ自然災害、日米貿易協定、家畜伝染病の問題。
農業をとりまく課題は山積ですが、
飼料の自給で外部要因に左右されない自立した生産。
離農して荒れた土地を引き受けて地域に喜ばれる牧場。
通りすがりの人が、あ、牛の放牧だー!と喜ぶ景観をつくる仕事。
一石何鳥もある放牧酪農のことをもっと考えてほしい。
そんな思いをこめて書きました。
と同時に、こういうことを書くと、日本の酪農はすべて放牧地では賄えないとか、
土地がない牧場はどうすればいいんだ、
などと叩かれそうですが、(過去に「山地酪農」を称賛したとき、複数から横槍を入れられえらい目に遭った。今もトラウマとなって忘れることができない。
なぜ、酪農家同士、あるいは、農業関係者同士、いがみ合うのだろう。わたしのような外部の人間から見ると、どの農業もみんな違ってみんないい、ではないかと思うのですが)。
わたしが書きたいのは、Aを褒めたからBは間違っている、ということでは全くない。
AもBもCも、いろんな方法があるから、日本列島なのだ。
九州と北海道で、四国と東北で、郷土料理、食べもの、とれる野菜(農産物)、方言が違うように、
都市近郊には都市近郊の農業、
北海道には北海道の農業、
過疎の中山間地には中山間地の農業が、営まれ続けることが、
食料問題にも、災害の土砂崩れにも、国土保全にも、地域の存続にも、あらゆることを健全(ヘルシー)に 解決する方法の一つだと言いたい。
全てだとは言っていないけれど、国連では食料問題や貧困の解決策が、家族農業、小農であると明言しています。
しかし、日本の農業政策は、大規模化、土地の集約化、ロボット導入、企業経営など、
人手が足りないことをお金をかけて解決しようとする政策ばかり目立つ。
お金が潤沢にあるなら、ロボットを導入すればいい。
海外に言われるままの値段で飼料を購入すればいい。
だけど、お金のない小さな農家は借金背負ってまでそれをするべきか。農業を続けるにはそれしかないのか?
答えは、いいえ。
今の日本においては、プランAではないかもしれない。けれど、プランBとして生き残る農業を、わたしは支持します。
#足寄町
#ありがとう牧場
#広尾町
#小田牧場
日本農業新聞にコラムを書きました。
読んでみてね
https://www.agrinews.co.jp/p48861.html
ベジアナ@土地有効活用アナあゆみ