介護に「喜び実感」を〜ないものねだりよりあるもの探しで〜農業共済新聞 | ごちそう♡さがしドットコム

介護に「喜び実感」を〜ないものねだりよりあるもの探しで〜農業共済新聞

全国の生産者へ向けて毎週水曜日発行(18万部)する農業共済新聞4/12付に小文を寄せました。


介護に「喜び実感」を 〜ないものねだりよりあるもの探しで〜

 介護する人、される人が、普段言えない思いを短歌に詠む「ハートネットTV介護百人一首」という番組(NHKEテレ)の司会をしています。

毎年1万2千首を超える中から選ばれた百首には、介護のつらさや嘆きから、感謝の気持ちや喜びの歌もあり、介護の現場は本来、人が互いを思いやる善意に溢れていると感じます。

 

”ガス抜き”が大切

 一方、毎日のニュースでは、介護を苦に思い詰め、悲しい結末を招く事件が後を絶ちません。行き違いやストレスは溜め込まず吐き出すことが大切ですが、介護者の場合(家族介護も専門職も)、相手が高齢者や弱者なだけに自分の感情を抑え込み、その結果、介護ストレスや介護うつになるケースが少なくありません。出口は見えなくても時々ガス抜きができれば、人はもう少しがんばれるものです。愚痴を言えないなら、紙に書き出すだけでもよいのです。

 

さまざまな思いを短歌に表す

 以前取材した中で忘れられない短歌があります。認知症の夫(74)を介護するN子さん(70)の歌です。

 『風呂どうぞ』入るそぶりをして入らずはじけて飛ばすくそじじい

 お風呂をいやがるのは認知症の症状の一つですが、理解はできても元気だった夫を知る妻にはイライラの種です。そこでN子さんは布きんをテーブルに、えいっ!と投げつけたのです。ノートにも思いっきり書いて思いをぶつけました。最後の5文字を夫に向かって言わずに済んだことに賞賛の拍手を送りたいです。

 さて、介護される側はどういう思いを抱えているのでしょう。車椅子に乗るSさん(77)の歌です。

切り方も知らぬ青年ヘルパーがかぼちゃの煮方覚えくれたり

自宅へやってくる青年ヘルパーは、野菜の切り方も知りません。お料理上手なSさんは青年の隣で料理の手順を教えるのが習慣になっていました。

 あるとき青年は、休日に自宅でカボチャの煮物を作って母親に食べさせたと報告してきました。

「Sさんに教わった通りに作ったら母においしいと褒められました。Sさんのおかげです!ありがとう」

この言葉を聞いたSさんは、どれほど嬉しかったでしょう。

介護される人にとって、自分が人の役に立てたことはこの上ない「喜び実感」です。誰かに喜ばれ、感謝されることこそ、人の「生きがい」なのです。

 

 人にはそれぞれ役割があります。

この青年も、料理のできない新人だったからよかったのです。介護に限らず理想の社会、人間関係とは、人それぞれ自分らしく能力が発揮できることです。介護する人も、される人も、かけがえのない存在です。老いや障害、現象の不足を憂えるのではなく、よい面に目を向けていこうではありませんか。

老いは誰にでもやってきます。ならば憂えるよりも歓迎し、寄り添っていくことはできないか。そして、人が老化すれば、地域も高齢化します。

人も地域も、ないものねだりではなく、あるもの探しで前向きに小さな「喜び実感」を見つけませんか。笑顔の多い人のところへ、友達は集ってくるものです。

農業共済新聞4/12付に掲載して頂きました)

 

「ないものねだりよりあるもの探し」という言葉は、介護や福祉の場で病気、老い、障害についても使いますが、もう一つのわたしの取材テーマである農村や地域活性化問題でもよく使われる考え方なんですね。

うちの夫や妻(うちの村)にないものを数えて憂えるのではなく、

うちの夫や妻(うちの村)にあるものを数えて喜んで生きていく。

自分も家族も人それぞれのあるもの探し、同時に自分の地域、ふるさともあるもの探しがいいですね。

 

次回の「ハートネットTV 介護百人一首」NHK Eテレは、

4/20(木)、4/27(木)の2夜にわたって放送します。

作家で医師でもある久坂部羊さんをゲストに迎えます。

http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/calendar/program/index.html?id=201704202000

 

 

小谷あゆみ 

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